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変某 - 変化か復帰か

僕は、それほど絶叫マシンが得意な方ではない。
ゴメン。大嫌いデス。

それでも、絶対に乗れないというわけでもない。
結構な人数で夢の国へおとずれたとき、あるジェットコースター系アトラクションの順番待ちをしていた。

正直、僕は遊園地という施設自体あまり好きではない。高いトコ嫌い、人ゴミ苦手、待つのヤだ……

なぜ来たのか後悔していたら、夢の国のヘビーユーザーの一人が得意気に説明を始めた。このアトラクションは、出口付近で写真を撮ってもらえるらしい。

と、いうか勝手に撮りやがる。

僕だって夢の国の住人だ。ヘビーユーザーだ。負けてられない。妄想とか幻覚とか副作……

とにかく、シャッターチャンスにポーズを取ろうと提案があった。

全員、同意して、いい写真が撮れたら購入しようという運びになった。そうこうしていて、順番がきた。

1車体8人乗りのそれは、僕らのグループが丸々車体を一つ占領し、ガタガタと音を上げ、暗がりを進み始める。

「そろそろ、くるよ」

後方から、提案者の合図が聞こえる。

前触れなく猛スピードで車体が急下降を始めて一瞬のうち、

「ここ! みんな左向いてポーズとって!」

絶叫と悲鳴、歓喜が轟く中で大声が張り上げられた。



「こちらで、お写真を販売しておりまーす」

誘導された出口で、撮られた写真がスクリーンに映し出されていた。

僕らの少しあとから出発したグループの写真も横並びで展示されている。

「え、どれどれ?」

そんな感じで少し探せば、一番、左側に僕らの姿を見つけた。

「え……ちょっと」

誰かがこぼした。

全員が無表情で、前方のバーも握らず膝に拳を置き正面を見据えている。

他のグループの写真は、カメラに向かってピースサインをしているもの、怖さの余りうつむいているもの、髪を逆立て絶叫しているもの……人それぞれに様々だ。

僕たちだけ全員が「素」だ。

「え……なんで?」

ピースした、怖くてうつむいていたーーそれぞれが口々にする中で、気になった僕は写真を購入した。

ある種珍しい写真だと思ったからだ。

普通に撮れていたなら一枚千円以上もするボッタクリ写真なんか買うことはない。

「え、買うの?」

そんな言葉も流して一人、おかしな写真を購入した。

購入した写真もおかしなままだった。全員首を傾げた。ある意味奇跡だ、自分も買っておけばよかったーー

帰りの新幹線でふところに入れた写真を、そっと取り出す。

相変わらず全員が全員、仏頂面で真正面を見すえている不思議な写真だった。

そこで、おかしなことに気づいた。

誰一人、髪が乱れているものがいない。

当時、坊主頭だった僕や、ジェルでガチガチに固めたツンツン頭の男ならまだ分かる。

百歩譲ってショート女子が、スプレーで固めていたとしよう。

ふんわりボブちゃんはどうなる。おかしい。

あれだけの急降下だ、髪が逆立ち乱れてもおかしくはない。サラサラストレートが自慢のあの子は、サイヤ人に近づいていないとおかしい。

スクリーンに映し出されているときは、どうたっか覚えがない。ほかのグループが、どうだっかも覚えていない。買ってすぐの写真がどうだったかも知れない。

そもそも、ポーズを取っていないのはおかしい。合図が出された際、左斜め上で強烈な光を感じている。

シャッターチャンスを違えたとは思えない。

ーー拳を作って膝に置くようなマネは、一度足りとてしていない。僕は、ほとんどを前方のバーに頼ってやり過ごした。

まるで、集合写真のように整列する奇妙な写真に違和感を覚えながらも、ふところへと閉まった。



、あの写真見せて」

新幹線から降り、タクシーを待っているところで一人に言われた。

ポケットを漁り、写真を取り出す。

「あぁ……!?」

写真を見たがった一人が、声を上げた。

「変わってる」

言って、写真からすぐに目を離したそいつが、僕を見る。

僕たちの姿は、各々、豊かな表情になって映し出されていた。髪は風になびき、前方のバーを握り締めたままうつむいている人間もいる。

ーー買ってから新幹線で見たときまでは、おかなままだった……

僕は、そう答えるしかなかった。

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