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呼微 - コール

漫画喫茶で暇を潰していた。

トイレに立ち、用を足していると電話のコール音が店内に鳴り響いている。

平日の真夜中で、客はほとんどいなかった。

プルプル、プルプルいつまでも鳴り続けるコール音に、少々イラ立ちを覚える。

ただ、一般的な客商売の深夜帯は、基本的に客数が少ない。大体の決まったピーク時間もない。

以上の理由で、アホみたいな作業量が割り当てられている場合も多いので、店員さんも忙しいのだろうと思っていた。

けれど、割り当てられた個室に帰ろうと近づくにつれ、コール音は僕の部屋から鳴っていることに気づいた。

てっきり他の客がフロントに注文でもしているのかと思いきや、フロントから僕に対して鳴っていたわけだ。

ーーハイ

電話を取っても返事がない。

ーーもしもし?

「ザッ……ザー、プー、プー……」

砂嵐のような音を立てて、電話は切れた。

仕方なく受話器を一度置いて、フロントにかけ直す。

「ハイ、フロントです」

ーーお電話いただきましたか?

「いえ……こちらからは、お電話しておりませんが」

こんな感じで、お電話はいただいていないご様子だ。



しばらく、そんなことは忘れて漫画を読んでいた。

そろそろ帰ろうかーー

もう一度トイレに立って用を足していると、またも電話のコール音が鳴り響いている。

そしてまた僕の部屋からだ。

ーーハイ?

タイミングの悪さに、少々語気を強めてしまった先、

「……ゴボッ…………

水中にいるようなくぐもった声で呼ばれたのは、僕の名だった。

グボッ……! と口から耐えかねて泡を吹いたような音のしたとき、悪寒が走って受話器を乱暴に置いた。

よく分からないが、押し寄せる寒気をこらえてすぐに店を出た。

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