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初めの記事

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対峙 - とにかく退治

学生を終えるか終えないかのころだ。母の実家に家族揃って帰省した際、仏間で一人寝ていて見事にうなされた。よく覚えていないが、なにか恐ろしい夢を見て飛び起きる。シバシバする目をこすろうとしたところで、背後に気配を感じた。コッ……僕の髪の毛を超えて"なにか"が地肌を押し込む。髪の毛とはセンチ単位で切るものではなく、ミリ単位で残すものだと考えていた当時の僕には、ほぼ直接的な感触だった。思わず振り返ると、軍服に...

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得音 - 魔法のセクハラ

フリーター時代、あるところで時期を同じくしたアキヤマさんは、いつもぼんやりしていた。もう疎遠になって久しいが、ほかの従業員に話しかけられてもニコニコ笑っているだけで返答をしないことが多々あった。ーーアキヤマさん……? 店長が聞いてますよ?「へ? あ、あぁゴメンなさい。なんですか?」そんな感じを不思議に思っていた。ある日、片耳が聞こえないことを打ち明けられた。と、いうか逆ギレ気味でサラッと言われた。片...

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晴男 - 空を止める

僕は第一印象が悪い。なにもしていないのに悪い。なにやっても悪い。だから面接の類はまず落ちる。受かったのなんて、新卒のときと人の紹介ぐらいだ。あと派遣とバイト。採用されないことを分かっていながら、面接のため他府県へ足を運んだときのこと。早めに着いてしまったので、近くのコンビニへ寄った。店の前で落ち着かない様子に煙を上げる男性がいる。この人も今から面接を受けるのだろうと思った。案の定、その男性も面接を...

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凄惨 - 生前産、会いに来たよ

とある飲食チェーン店で、小遣い稼ぎをしていたときのことだ。僕は、深夜に出勤し三時間ほど閉店後の後片付けや開店準備を行うだけの存在だった。実質、「お店」とはあまり関わりがない。ある日、ヤナギさんという女の子が、閉店後のシフトにもいわゆる「通し」で入ることを聞かされた。なにか用入りらしかった。*水浸しにした床をデッキブラシでゴシゴシやりながら、ヤナギさんへ適当に仕事を教えていた。基本的に二人一組でやる...

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信頼 - 頼りなくて足る

世間様が、正月気分に沸くある年の暮れ。もはやタコ部屋に近いところで、出稼ぎしていた。「十の成功で得た信頼も一の失敗で失うからな」どこかで誰かに言われて覚えたのか、偉そうに僕もこんなことを人様に口走っていた時期があった。「今年は年越せるか?」半分、本気で笑い合うオッサンと煙を交換する今の僕には到底言えない。抜け落ちた歯の数を数えるより、たまたまそこに残っただけの残滓を数える方がよっぽど早い。オッサン...

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