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駆引 - 龍と人の化かし合い

自分の男が飲めないからといって、人を愛の巣に呼びつけるのは止めて欲しい。旦那不在の自宅でマリエちゃんはご機嫌に出来上がり、ようやく帰って来た家主は僕に「ただいま」を言うと早々に寝室へと消えてしまった。なにかおかしい……。なんか変。元は旦那の方が知り合いだったハズなのに。「挿して~、抜いて~、あ挿して~」グラス片手にジェンガをつまんで、マリエちゃんは独り言のようにこぼす。コイツおかしい。絶対、変。「あ...

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異存 - マッチポンプなロミオとジュリエット

見える人は、見える(と主張する)人を疑ぐってかかる。こちらからすれば、まとめて「自称霊感さん」なわけだが……だって幽霊なんか見えないし。「自分と同じものが見えてたら信用する」異主、指輪で書いた店長と、久方ぶりに顔を合わせたときだ。人によって「見えるもの」や「見え方」は違うらしいなんて話も聞きますよ、そう伝えて店長は頑として譲らなかった。「分かるけど、ホントに見えてるもん同士はどっか合致するよ」タメ息...

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孤独 - 隣の芝生は青い

今時どこにでも転がっていそうで、でもそうそうないようで……やっぱりある複雑な家庭事情の人の話はよく聞かされる。フリーター時代に知り合ったブッチは不憫な子だった。ブッチの母親が彼を産んだのは17歳のときーーいわゆるデキ婚をしたが、父親が働かない系男子だったのですぐに離婚。母親は高校を中退して水商売に足を踏み入れた典型的なパターンだった。「父親の顔、知らないんすよ」ブッチが9歳のとき、母親は再婚した。バ...

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既知 - 賛否の齟齬

変な時間に寝て、起きてする人間だから、おかしな時間に朝飯だか夕飯だか分からない食事を合わせて取る。学生の下校時間にブチ当たって、合間をぬうようにフラフラと近所のホカ弁に足を向けていた。ーー落とし物。一瞬、お守りに見えたそれはフルネームで、おそらくは女性名が印字されていた。きっと下校途中の小学生かなにかが落としたのだろう。個人情報にうるさいご時世にこんなものが落ちていて、ここら辺りはまだ平和なのかと...

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侵食 - 原発怪談 番外編

ヤマダさんは僕を原発の世界へ引っ張り込んだ張本人だった。元自衛官で、それからは一般社会に馴染めず職を転々としているうちに鬱になった王道パターン。いわゆるボーダー気質で境界性は元より、自己愛性・演技性・反社会性……全ての特徴が余すことなくあ、ピッタンコ。「アイツなんとかしてくれよ」「次にアイツがなにか問題起こしたら、お前も一緒に飛ばすからな!」「アイツ殺してええか?」「代わりにお前(を)殴っていい?」...

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